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2008年7月 3日 (木)

山口の一つ火

上田の七不思議の中で一番科学的に解明が難しく、実在したかどうかさえ疑われているのがこの山口の一つ火です。

伝承ではつつじの乙女と密接な関係があるとされています。乙女が谷底へと突き落とされた日から、毎晩十時過ぎになると山口地域の方角の太郎山の中腹に火の玉が現れて、上田市街地から見ることが出来た、とされています。現在ではもちろんそのような現象は確認できませんし、電灯やガス灯が普及した明治~大正期にはもう見れなくなっていたとのことです。

山口の一つ火は、恐らく日本全国的に類型の話が残っている狐火の類であると想像できます。なぜなら、人魂の伝承の類とは異なり、一つ火に近づこうと山口の方向に歩いていくと一つ火が見えなくなってしまう、という点が、他の地域で伝わっている多くの狐火の伝承と極めて類似性が高いのです。

なお、狐火の一種である不知火が、寒暖の差の大きい大気の層を通過する時に生じる光の異常屈折現象であると解明された為、狐火も同じ原理で発生する現象だとする説が現在では有力です(高知県の中学生の実験のページを参照してみてください)。ですが、山口の一つ火をはじめとする狐火の多くは山の中腹で発生する現象であり、不知火における漁火のように異常屈折の元となる光源が全く無いため、狐火と不知火は全く違った自然現象であるとする説もあります。私も、単純に不知火と同じように狐火を説明するにはまだ不十分なところが多いと思いますが、やはり何らかの光の異常屈折による蜃気楼現象であろうと想像しています。

夜がすっかり明るくなってしまった現在では山口の一つ火を見ることはおろか、解明することすら難しいですが、伝承によると狐火は澄んだ空気と豊作の象徴だったようです。狐火にとって極めて住み難い環境となった日本の、後継者不足で衰退の一途を辿る農業を考えると、奇妙な符合を感じずにはおれません。

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コメント

後になって気がついたのですが、yahoo百科辞典(出典:日本大百科全書)でも狐火を光の異常屈折現象であると解釈しています。
http://100.yahoo.co.jp/detail/%E7%8B%90%E7%81%AB/

狐火と同じような怪光現象は、日本だけではなく全世界的に観察が記録されている現象のようでして、非常に興味深いです。

投稿: 飯島商店 | 2009年10月 6日 (火) 10時31分

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